【まだですか？】
オネダリ・ポイントにてスタンバイ、Ｎ氏撮影。


夕方、沈丁花の香りが風に運ばれる。
家の前の桜並木がもうすぐ咲き出すであろう。
ミミも毎日ご機嫌で朝夕の散歩をする。

しかし、コトリはこの時期いつも以上に思い出してしまう、
３月に逝ってしまった先代もーちゃんのことを…

寿命が自分より短い生物と過ごすという事は、
別れる覚悟もしておかねばいけないことだと分かっていた。

【やれやれ…】
やっと手に入れた！びわの葉バリバリ、Ｎ氏撮影。


それまでにお別れした小さなお友達のことは
みんなコトリは覚えている。

けれども、もーちゃんは特別な存在だったのだ。
あの日の事は全部鮮明に覚えている。

ただ、腕の中に抱いているもーちゃんから
生命力が出て行くのをなすすべなく泣きながら見守っていた。

今でも切なくて悲しい、こういう感情を哀切というのだろう。

ミミを迎えるとき決心した―
出来る限りの努力をして、後悔しない。と

◇
【かすみ草】
いろんな花と相性が良いって素晴らしいことだなぁ…。


次回の診察からはＴ先生だというのに往生際悪く、
不安顔をするコトリにＳ先生は

そんなに不安ですか？

えっ！？いや、そ、そんなことは…
ただ、Ｏ先生の暴走を止めてくださるのかな～？って

ここは、Ｔに踏ん張ってもらいます！

それに、何だかんだいっても
Ｔちゃんはコトリさんとのお付き合いが長いし、
電話でも時々お話したりしてるから、

コトリさんも他の先生に比べれば
コミュニケーションがとりやすいと思いますし、
Ｔもコトリさんの性格を知っているので頑張ってくれますよ。

コトリの主治医はＳ先生なのだが、
何故、Ｔ先生が時々電話をしてくるのか？

答え：部下

コトリのような珍しい病気の持ち主は
本来、大学病院で研究症例として扱われる方が
世間の役に立つのだそうだが…

通院するにはあまりにも遠すぎるのと、
部長Ｏ先生の医学的関心事に
コトリの症例がピッタリ当てはまったのが災いして、

コトリはＫ中央病院・神経内科にて
月２度の丁寧な外来診察を受けている（涙）

大学病院の方が通院に時間と体力を要するが
費用が安かったかもしれない。

当然、神経内科セミナー、学会が
近づくとＳ先生の診察に必ずＯ先生も同席なさる。

そして、Ｔ先生が電話などで詳しく
薬の効き具合や副作用のヒヤリングや
痙攣を自覚し始めた頃に通っていた病院名などの確認。

コトリの知っている限りでは少なくとも
Ｏ先生とＳ先生、Ｔ先生の３人が共同研究者として
コトリの病気について発表しておられる。

さらに、年に一度はビデオ撮影もあるのだ…

監督、撮影：Ｏ先生
助手、照明：Ｔ先生
記録、固定係：Ｓ先生

主演女優：コトリ

◇

　
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